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2006年07月14日

忍び寄る内臓脂肪症候群

 「なんで太っていてはいけないの。お母さんも太ればいいじゃない」

 東京都内の中学1年生B子さん(12)は、母(44)に度々こう言った。一時は体重70キロ・グラムを超え、標準を50%余り上回る肥満。だが、父と兄も太っていて、悪いこととは思わなかった。

 大食漢の家族は、夕食に肉を1・5~2キロ・グラム食べた。米は月に60キロ・グラム。揚げ物なども大好きだ。

 3年前、心配した母と共に、東京女子医大東医療センター(東京・荒川区)小児科教授の杉原茂孝さんを訪ねた。

 血圧と空腹時血糖値が基準値より少し高い。腹回りも大きく、内臓のまわりに脂肪がたまっているとみられた。成人の「内臓脂肪症候群」(メタボリック・シンドローム)にあたる状態だった。

 肥満は、糖尿病や高血圧など生活習慣病の引き金になる。特に内臓脂肪がたまると、脳卒中や心筋梗塞(こうそく)を引き起こす恐れが高い。

 「子どものころから内臓脂肪がたまると、血管が早くから硬くなり、生活習慣病の危険性が高まると考えられる」と、東京都立広尾病院小児科医長の原光彦さんは言う。

 肥満で医療機関を受診する子どもの2割程度が、この症候群にあたる状態と言われる。成人では昨年、診断基準が作られたが、厚生労働省研究班は、小児の診断基準を今年度中にも作成する方針だ。

 治療には、原則として薬は使わない。小児の場合、長期の安全性が確かめられていないからだ。

 杉原さんは、給食でおかわりをしないなど、7項目のチェック表=別表=をB子さんに渡し、体重を毎日量ることなどを指導した。

 肥満がいろいろな病気の原因になることを理解したB子さんは「言われたことを守ると、ちゃんと体重が減ると気づいた」。

 今ではほぼ全項目を守り、ご飯は茶わん1膳(ぜん)、おやつはせんべい1枚を週1、2回程度に抑える。水泳にも週2回通う。家族で食事内容も見直し、肉は4人で1食800グラムまで、米は月20キロ・グラムにした。

 肥満度は31%に減り、血液検査も問題なくなった。

 「家族が協力し、小さな目標を積み重ねることが大切。適切な生活習慣を身につければ、内臓脂肪も減らすことができる」と杉原さんは話している。

 内臓脂肪症候群の診断基準 成人では、腹囲が男性で85センチ以上、女性なら90センチ以上あるうえ、血圧、血中脂質、空腹時血糖の3項目のうち2項目以上で基準値を超えた場合。

 子どもの肥満のチェック表

 〈1〉朝食は抜かない

 〈2〉学校給食のおかわりはしない

 〈3〉夜9時以降は何も食べない

 〈4〉甘いおやつは避ける

 〈5〉よくかんで、ゆっくり食べる

 〈6〉テレビやゲームは1日□時間以内(各家庭で決める)

 〈7〉家の手伝いをする

 1日1項目できたら1点。1週間を振り返り、7日間全項目できたら、1点を加えて50点満点。

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