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2005年05月16日
日本人は軽度の肥満に対しても抵抗力が弱い
糖尿病や高血圧,高脂血症などの生活習慣病の発症には肥満が大きく関与しており,欧米ではBMI(Body Mass Index)30以上を肥満と判定している。しかし,日本ではBMI基準による高度肥満者が少ないにも関わらず,糖尿病などの発症は欧米に匹敵する。
このことから,日本人は軽度の肥満に対しても抵抗力が弱いと推定され,最近の研究からは肥満の質,特に内臓脂肪蓄積の程度が重要であることが明らかになってきた。しかも,内臓脂肪蓄積を基盤とした生活習慣病はマルチプルリスクファクター(糖尿病,高脂血症などが一個人に複数併存)としての病態を示し,心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患の発症要因となる。
会頭演説「生活習慣病の分子メカニズム」では,松澤氏が上記のような背景を説明。こうした病態は,日本で「内臓脂肪症候群」として提唱され,世界的には「メタボリックシンドローム」の名称でその診断基準を議論。2004年5月には,英国においてIDH(国際糖尿病連合)などのコンセンサス・カンファレンスが開催され,基準が決定されたと説明した。
内臓脂肪の蓄積に着目診断にはウエスト周径を採用
会頭演説の翌日には,「メタボリックシンドローム診断基準検討委員会」(委員長=松澤佑次氏)による記者会見が行われ,日本独自の診断基準が公表された。同委員会は,日本動脈硬化学会,日本糖尿病学会,日本高血圧学会,日本循環器学会,日本腎臓病学会,日本血栓止血学会,そして日本内科学会の計8学会からの委員で構成。原則は欧米の診断概念に沿いつつ,日本独自の基準値を設定した。
診断基準は表のとおり。内臓脂肪蓄積を必須項目とするマーカーとしてウエスト周径が用いられた(「CTスキャンなどで内臓脂肪測定を行うことが望ましい」と注釈が付けられている)。これに加えて,(1)リポ蛋白異常,(2)血圧高値,(3)高血糖の3項目のうち2項目以上に当てはまると,メタボリックシンドロームと診断される。
表 メタボリックシンドロームの診断基準 ●ウエスト周径
男性85cm以上
女性90cm以上
(これらの値はCTスキャンでも内臓脂肪面積100cm2に相当する)
●上記に加え,以下のうち2項目以上のリスクを有する場合をメタボリックシンドロームと診断。
(1)リポ蛋白異常
高TG血症 150mg/dl以上
低HDL-C血症 40mg/dl未満
のいずれか,または両方
(2)血圧高値
収縮期血圧 130mmHg以上
拡張期血圧 85mmHg以上
のいずれか,または両方
(3)高血糖
空腹時血糖 110mg/dl以上
新たな疾患概念確立の意義
これまでの動脈硬化性疾患の予防対策は高コレステロール血症の管理に重点がおかれ,他のリスクファクターに関しても個々に対応されてきた。今回,メタボリックシンドロームという疾患概念を確立することで,キープレーヤーである内臓脂肪蓄積を減少させる意義が明確になるという。血糖や血圧が少し高いだけと放置していた患者に対しては,ウエスト周径を測り,運動を推奨するなどして,効果的な予防対策が期待される。
